こんにちは、マーケティング担当の金尾です。
新しいシステムの計画でもマーケティングの企画でも、何か新しいことを始めるときにはプランを立てますよね。でも、それが元々自分のやりたかった(温めていた)企画ならともかく、業務として自分の知見もあまりない分野のものや、漠然とした課題に対しての企画の作成をする必要に迫られた場合は、何から手をつけて良いかちょっと戸惑った経験はないでしょうか?
例えば「(新しい事業領域を開拓すべく)何かAIとかIoTとかクラウドとかをうまく活用した企画(仕組み)を考えて」と言われると「お、おぅ」となりませんか? ^^;
私も似たような経験を何度もしていて、仮に上記のリクエストを受けたら「そもそもAIって何に使われているんだっけ?」とか「クラウドのサービスってどんなものがあるんだっけ?」というところから手を付け始めてしまい、さらにそもそも知見がないものだから調べれば調べるほど深みにはまって、なかなか企画の形が固まらず「冷や汗タラー」という状況になってしまうことが目に浮かぶようです。
でも、そうなってしまう前にできることのコツを少しだけ掴んだ気がしているので、(正しいかどうかは別の話として^^;)何かの参考になるようならと思いちょっと書いてみたいと思います。
5W1Hを簡潔に表現することを目標に定める
どこから手を付けようかと考えると、先述したようなアクションを起こしやすい内容が思い浮かぶのですが、そこをぐっとこらえて、企画の骨となる「5W1Hを一枚ペラで書き上げること」を目標として意識することから始めるようにしています。
What(何を)・・・(Whyへ向かって)この企画で実現すべきこと
How(どのように)・・・(Whatを実現するために)実行する内容
Whom(誰に対して)・・・この企画の効果を届ける相手(対象)
Where(どこで)・・・対象とのタッチポイント
When(いつ)・・・企画の期間
この中で「Where」や「When」は結果として比較的定めやすいのですが、それ以外の部分は書き始めてみると、ブレるし、長くて抽象的な文章になりがちだしとか、かなり大変だなと感じられると思います。
でも、それで良いんです。書けないんです、この時点では。あくまでも最終的に「5W1Hを書き上げることが重要」と認識してこの先を進めることが重要だと思っています。
思いついたこと(頭に浮かんだこと)を書き出してみる
もし大き目のホワイトボードがある会議室があるなら、そこに籠もって頭に浮かんだことを書き出してみることをオススメします。ホワイトボードが無かった場合は、大き目の紙(A3以上を推奨)を部屋に持ち込んで作業したりしています(ポストイットもあれば便利です)。
ポイントとしては、「外部からの影響を受けない集中できる環境を作ること」と、色々なことを書き出せる広さのあるホワイトボード(もしくは紙)を用意し「書き出したことを俯瞰して見えるような状況にしておくこと」を意識しています。
環境ができたら、大枠で5W1Hをそれぞれ書き出せる余白を確保し、それぞれで思いつくことを書き出してみます。まずはきれいな文章ではなく、ぱっと頭に浮かんだ内容を勢いに任せて書いてみます。その後、一旦筆を止めて一歩下がって全体を確認してみます。私の場合この時点では必ず、WhyのところにWhatやHowの内容が書かれていたり、書いてあることの粒度がバラバラだったりとまぁカオスです^^;
そんな嫌になってしまいそうな気持ちをぐっとこらえつつ、書き出した内容を見ながらWhyのところから再度考えを巡らしてみます。「(ホントに)何のためにやるんだっけ?」…「これをやることでどういうメリットがあるんだっけ?」…「やるんだったら解決しなければならないことは何?」といった感じで、あーでもないこーでもないと何回も禅問答のように行ったり来たりしながらホワイトボードと向き合っています。関連性のある言葉同士を線でつないだり、重要そうなキーワードを赤ペンで丸く囲んだりしながら進めていくと、徐々に(先程よりは)整理されていきます。
で、大体2時間から3時間くらいこの作業を集中して進めてみたら、一旦やめます。整理しきれていなくてもホワイトボードを写真で撮って強制終了です。
この時点では恐らく5W1Hを書き上げる上で前提として確認しなくてはならない点がいくつか出てきていると思いますので、そこを調べる作業を行います(この時、時間がかかるような確認ポイントだった場合は、5W1Hを書き上げるためには不必要な点である場合が多いので、あまり深追いせず「本当にいま必要?」と再考してみることをオススメします)。
他の人と話してみる
一人で集中して考えたあとは、あえてこの企画と直接関係しない人と話をしてみることを意識しています。
打合せを設定してというのではなく、どちらかというと雑談的に「ちょっと聞いてくれる?」といったトーンで話してみると、話している内に勝手に自分の頭が整理されていくことがあります。もちろん、聞いてくれた相手から私の想定していなかった視点でのアドバイスを貰えることもあり、一石二鳥です。
ポイントとしては、「あえて誰かに対して言葉にしてみる」ことと「少し熱くなった頭を冷ます(頭の中の余白を広げる)」ことが重要だと思っています。
後者については、”お風呂に入っていたら急に思いついた”とか、”寝ている間に閃いた”といった経験をされたことがある人もいると思いますが、それと同じような効果も期待しています。
なので、他の人と話をして見るのも、ホワイトボードと格闘した直後というよりは、一日くらい空けてから実施してみることをオススメします。
英語で書いてみる
ここまでの時点でまだ4割くらいしか腹落ち感がない場合は、もう一度ホワイトボードと向き合ってみて、6〜7割くらいまで上げられるくらい検討してみてください。
その後5W1Hの一枚ペラを書き上げるべく、今度はPCに向かいます。
What(何を)・・・(Whyへ向かって)この企画で実現すべきこと
How(どのように)・・・(Whatを実現するために)実行する内容
Whom(誰に対して)・・・この企画の効果を届ける相手(対象)
Where(どこで)・・・対象とのタッチポイント
When(いつ)・・・企画の期間
この時点ではある程度ホワイトボード上で文章ができていると思うので、まずはその内容を書いてみます。
それから以下の点に注意して読み直してみます。
- 一文に複数のことを表現していないか(「〜すると共に〜」のような文章)
- ぼやかした表現をしていないか(「〜のような」や「〜など」)
- 各レイヤーに適した内容になっているか(WhyがWhatに、WhatがHowになっていたりしないか)
自分では7割くらい固まったと思っていても改めて書き出してみると、結構上記の注意点を踏んでしまっていることが多いです。
その場合に私がよくやるのは、英文で書き直して見ることです。これは特に英語があまり得意ではない人ほどオススメです。何故かと言うと、そもそも語彙が少ないので長文は書きづらく、結果として文章がとてもシンプルになるからです。日本語で書いていると「主語」や「目的語」が抜けてしまっていたり、玉虫色な表現を駆使してしまっていたりするのですが、英文に書き直そうとするとそういう曖昧だったところに気づくことができるのです。
5W1Hを書く目的は、この「企画の骨子を関係者間で共有し認識を合わせること」にあるので、認識のブレが出ないよう極力シンプルに曖昧なところは省くことが肝要かと思っています。
自信を持って。相手は自分よりも情報が少ない前提で説明する
ここまで書けたら、あとは依頼した人やステークホルダーの方々に説明してみるステージに移ります。そのまま合意を得られなくても、フィードバックを踏まえてもう一度ブラッシュアップし再挑戦すれば良いだけです。
ここまでの作業でかなりシンプルな文章にしたため「断定的な表現」が使われていると思います。もちろん、それ以外の選択肢もあると分かっていながらあえて決断したはずなので、説明の際には心で日和ってしまいそうになるでしょう。ただ、あえてその判断した内容をそのままブレずに説明することが重要だと思っています。ここでいかようにでも取れる内容にしてしまうと企画が進む中で思わぬ横槍が入ってしまい兼ねない要素を残してしまいます。そのような悲劇を生まないためにもしっかり自信を持って説明しましょう。
それからもう一つ重要なポイントとしては、「聞いている相手は自分より情報が少ない(場合もある)」ことを前提に説明することだと思っています。ここまで時間をかけて考え抜いたからこそ、頭の中の前提ができ上がってしまっていて、細部を省略してしまいがちです。記載されている文章がシンプルになっているからこそ、そこへ至った経緯はしっかり相手に伝えられるように準備をしておくべきだと思います。
最終的に企画の骨子である5W1Hが承認されれば、この骨に肉付けを行っていくことは比較的容易だと思います。何故なら、これまでの過程で頭の中にはもう既に何をこの後加える必要があるかが分かっているはずだからです。
最後に
というわけで、もし企画を依頼されて途方に暮れそうな気持ちになった場合は、騙されたと思って「5W1Hの一枚ペラだけをまず作ろう」と思って見てください。一枚くらいだったら作れそうな気になりますよね。もちろん簡単な作業では無いのですが、ここをしっかり詰めておくことでその先の成否が変わってくると思っています。ぜひ頑張ってみてください!
とはいえ、企画検討の段階から知見を持っているコンサルタントに入ってもらうことは、企画を詰める時間を短縮できたり、不用意な手戻りを防げたりといったメリットもあるのでうまく活用することも検討されたら良いと思います。
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