マーケターが技術イベントに参画する意義

こんにちは、マーケティング担当の金尾です。
先日、「明日の開発カンファレンス 2018 秋」というコミュニティ主催の技術イベントで司会を担当してきました。
昨年の春から始まって今回で3回目の開催でしたが、また豪華な講師陣をお迎えすることができ、とても濃い内容のお話を聞くことが出来ました。来年の春も開催する予定ですので、ご興味がありましたらぜひご参加いただければと思います。
さて、今回は実はこのイベントのレポート記事を書く予定だったのですが、書き始めてみると「ちょっと視点を変えてみたほうが面白いかも」と思いなおしまして、「マーケティングという職種の私が技術イベントに参画している理由」を少し書いてみたいと思います(ここでいう「技術イベント」は、どちらかと言うと企業が主催しているものではなく、「技術コミュニティが主催しているイベント」のことをイメージしています)。
そもそも私が技術コミュニティの方々と関わるようになったのは、前職で主に開発者の方々への技術啓蒙をミッションとした仕事を担当していた時期があったことでした。特にIT業界の方であれば、”エバンジェリスト“とか”DevRel“とかいった言葉を耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。”エバンジェリスト“は、イベントに登壇したりブログを書くなどして新しい技術の使い方を世の中に広めていく活動を行っている技術者を指すことが多く、”DevRel“は”Developer Relations”の略で技術者向けのマーケティング手法の一つとして捉えられているかと思います(個人的には微妙にニュアンスが違うのですが、まぁ一般的に)。ともかく私は、社内外の”エバンジェリスト”的な技術力に長けた方々と一緒にマーケターの立場でイベントやキャンペーンなどの企画を行う仕事をしていました(ちなみに私は技術者のバックグラウンドは全くなく、今でもコード一行も書けません^^; 間違えられることも多いのですが^^;)。
そういうわけで発端はお仕事としてではあったのですが、未だに自社の扱っている技術と直結しない技術コミュニティの方々ともお付き合いさせていただいているのは、技術者の方々との交流を通して得るものがとても多いからです(もちろん個人的にも楽しい!という理由もありますが^^;)。
技術イベント」と聞くと「その技術に精通している人しか参加できない」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、興味があれば中身をよく知らなくても、さらに技術職じゃなくても喜んで迎え入れてくれます。
また、得てしてマーケターと技術イベントとの関わり方として「協賛費をマーケティングの予算から捻出だけして、イベント自体には参加しない」というケースはよくあると思いますが、せっかく協賛したならどういう人がそのイベントに参加していてどういう興味を持っているのかを是非現地で見ておいたほうが良いと思います。
とはいえ、初めては少し勇気がいるかもしれませんが、「飛び込んでみるとこんな良いことがあったりしますよ」と私が思っていることを、この後少し書いてみたいと思います。何か少しでも参考になる方がおられたら嬉しい限りです。

技術トレンドのキャッチアップが楽になる

特にここ10年、テクノロジーの進化スピードがとても早く、かつ種類も多様化し、気を抜いていたらあっという間にカオスになってしまう感覚を感じている方もいるのではないでしょうか。もはや、マーケターが独学で何とかなるレベルではなくなってしまったと思っています。
得てして技術コミュニティを運営していたり登壇したりしている人たちは最先端の技術をいち早く学んでいる人たちばかりなので、セッションをただ聞くだけでなくて懇親会などの場を利用しつつ、「先程こういうことを話されてたと思うんですが、こういう理解で正しいですか?」とか理解できなかったことを直接登壇者の方に聞くと自分の理解度が短時間でグッと上がります。これをいろんなテーマの技術イベントに参加して繰り返していると、多方面の技術トレンドをより早く簡単にキャッチアップできるようになります。さらに、何度かお会いしたり、SNSで繋がったり、ひいてはイベントの運営側に回ったりするようになると、イベントの機会がなくても「教えて下さい!m(_ _)m」と相談できるような関係になったりします。
これはイベントに参加されている技術者の方にとってもメリットですが、理解の深さは異なっていてもマーケターにとってもとても重要な機会になります。

マーケティング メッセージを書くスキルが高くなる

これは、前述の技術トレンドをキャッチアップする際に「〇〇ってこういう意味ですか?」と聞くだけでなく、「それをする(使う)ことによって何ができるようになるんですか?(もしくはこういうことができるようになるという理解で正しいですか?)」といった質問をしてみるようにしてみると良いと思っています。
技術の詳細が理解できなくても「その技術を使ってできること」が理解できるとその内容をメッセージに組み込めるようになります。例えば、うちの会社の例でいうと、主力製品のBeaconについてBLEそのものの細かい内容を私自身が理解できていなくても、Webサイトやチラシなどに「できること」についてのメッセージを自分で書かけますよね。それが色んな角度から表現できるようになっていきます。そもそもエンドのお客様は技術に精通している人たちばかりではないですよね。その人たちに新しい技術やその価値をより理解しやすい形にした言葉で届けることもマーケターの仕事の一つだと思っています。
欲を言うと「何故その技術を使って実現しなくてはならないのか?」、「他の技術を使った実装と比べて何が違うのか?」という点まで踏み込んでみるとより説得力のあるメッセージを書くことができるようになると思います。

マーケットの状況をより正確に理解できるようになる

AI」とか「IoT」とか「FinTech」とかいったキーワードがマーケティング メッセージとして色々なところで日々見かけますが、これを単なるバズワードで終わらせないマーケティング(市場作り)を行うよう努力することもマーケターの使命の一つだと思っています。
冒頭でこの文中で想定している「技術イベント」は「企業主催のイベントではない」と書いたポイントはここにもあります。得てして当たり前の話ですが企業主催のイベントはマーケティング色が強くなってしまいます。逆にこの点「技術コミュニティが主催するイベント」に参加すると「実のところどんな感じなの?」「普及していく際に壁になりそうなポイントはどこなの?」といった話もすることができるので、客観的に市場の状況を俯瞰するための情報を得ることができます。
もちろん世の中のトレンドをキャッチアップして、旨い形に自社のメッセージに取り込み発信していくスキルもマーケターとして重要だと思いますが、それが表層的な理解だと”ふわっ”としたメッセージになってしまいがちですし、他社と差別化したメッセージを出すこともできません。
とはいえ、正直なところテクノロジーそのもので差別化したメッセージを作ることはとても難しく、私自身も日々四苦八苦しています。ただ誠実に「その技術を使って得られるお客様の価値」をどうやって伝えられるかを念頭にメッセージを作り、また他の方々とコミュニケーションを通してそのエッセンスを少しづつでも貯めていくことが重要なポイントになると思っています。

社内の技術者とのコミュニケーションがさらに円滑になる

技術者の方々にとっても、「自分たちが行っていることやその価値をより多くの人に伝えてくれるマーケター」は重宝してもらえます。ただそうなるには、マーケターはその価値の本質をより正しく理解する努力が必要ですし、技術者の方々にも自分たちのやろうとしていることの意味を理解して貰えるようにしなくてはなりません。その点、特にコミュニティを運営している技術者の方々とのコミュニケーションは多くの気づきを与えてくれます。何故ならコミュニティを運営している人たちは、イベントの集客方法を考えたり、コンテンツを何にするかについても悩んだりされている方々なので、ある意味マーケティングの視点を理解してくれやすい技術者の方々です。しかもコミュニティを仕切っているということは、技術に対しても熱量の高い方々です。そういう方々とコミュニケーションを何度も取るうちに「こういう伝え方をしたら理解してもらいやすいのか」「言われたことの意味はこういうことだったのか」といった気づきを得ることができ、社内の技術者の方々ともより早く相互理解ができるようになったと感じています。

最後に

その他にも、一緒に仕事をする仲間が見つかったり、新しい趣味が増える機会になったりと良い発見が色々あります。
その一方でまだまだ技術イベントでマーケティング職の人にお会いする機会が少ないので、もしこのブログを読まれている方がマーケターの方であれば、ぜひ一度トライして見てくれたら嬉しいです。もし一人で参加するのが不安な場合は、知り合いの技術者の方と一緒に行けると良いかもしれません。
以前のブログでも書いた気がしますが、弊社では技術コミュニティに運営側として参画している人間が多いです。私のようなマーケターだけでなく、開発の人間も営業も色々な職種の社員が参加しています。それぞれが外部で得た知見をまた社内にフィードバックする有志の勉強会を開催したりしています。
またこのブログでも、イベント参加レポートをいろいろ書いているので、参考にしていただければ嬉しいです。
ぜひ技術イベントでお目にかかるのを楽しみにしています!
<過去のイベント参加レポート記事の一覧>

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