(本稿は『月間自動認識 2018.5』に寄稿させていただいた内容の後編になります。前編はこちら)
事例
<ユースケース①>
では、実際にはどんなユースケースがあるのだろうか。
社員Aは顧客との打ち合わせのため、会議室Aを3時から2時間、予約していた。ところが、先方の急な都合で当日、打ち合わせはキャンセルされ、次回来訪は未定となった。社員Aは次回来訪がないため、会議室予約の画面を特に開くこともなく、会議室の予約は入れたままとしてしまった。
社員Bは部下のCと進めているプロジェクトについて、4時ごろCから相談を受けた。口頭で説明するも上手く伝わらず、会議室でホワイトボードを利用して説明しようと思ったが、空き会議室がないため、5時過ぎに改めて会議室で説明をする事にした。二人は仕方なく残業となった。
ここでFlick Onがあった場合、どうなるのか。
まずは、社員Aの会議室予約は使用プレートが空き室のままのため、3時を少し過ぎた時点でキャンセルとなり、グループウェア上もキャンセルとなる。
このため、社員BとCは、会議室に空きがあるため、4時に打ち合わせを実施できた。
また、この際、会議室のあるフロアに予約状況を表示するパソコンがあれば、Bはグループウェアを開く必要もなく、会議室のあるフロアに行くだけで予約状況を把握でき、空き室を発見できる。
また、ここでグループウェアで予約をせずとも使用プレートを使用中にすれば、自動で会議室予約を入れてくれるため、他の社員がグループウェア上で予約を入れる心配もない。
社員B、Cが会議室の利用を終え、使用プレートを空き室にすれば自動で以降の予約も削除される。このため以降に必要な人が利用することが可能となり、全体として効率よく会議室が運用される。
<ユースケース②>
利用実態についてのユースケースはどうだろう。
① 総務部には、会議室の予約が取りにくいとのクレームが他部署より入る。会議室の増設について検討を行うが、実態が見えないため、増設するべきかの判断に迷ってしまう。
② 社員Dは、毎週の定例会議の会議室予約を上司に任されているが、定例開催の月曜日は会議室予約が取りにくく、決まった時間での開催が困難な状況となっている。
このような状況でもFlick Onがあれば、会議室の利用実態として前述の社員Aのように、会議室予約をした後にキャンセルしなければならないにも関わらず、グループウェア上でキャンセル処理を実施して来なかった人を発見する事ができる。空予約の常習犯には個別に是正指導ができ、会議室の利用効率の向上に役立ち、会議室増設の必要性はないことが判断できる。または当然、予約率も利用率も常に高く会議室増設の必要がある場合もあるだろう。このような場合も、増設が必要な根拠として利用率が数値化され見えるため判断がしやすくなる。
社員Dのようなケースでは、曜日ごとのヒートマップを見れば、定例開催の月曜日の利用率が高い事が解る。
解決策としては、ヒートマップを根拠に上司に開催日の変更を上申してもよいし、総務部などから利用率の高い曜日の利用を控えるよう、他部署へ促してもらってもよい。
おわりに
繰り返しにはなるが、Flick On以外の会議室ソリューションでも同様の事は可能である。ただ大きな違いは、IoTというキーワードである。どこにでもある会議室の使用プレートを、インターネットに繋げるだけで問題を改善できる事だ。
会社によっては、運用上のルールは何ら変わらないだろう。使用プレートを使っていなかった会社でも、ルール変更はそこまでのものではないだろう。
IoTの可能性はここにあるのではと思う。
人が使い慣れた「モノ」、直感的に使える「モノ」、私たちの生活は何かしら「モノ」に触ることの連続である。そういった「モノ」をインターネットに繋げてデータの蓄積や、リアルタイムの状態把握で実現できる事は、私たちの「モノ」にさわる行動そのものを変えることはない。これはつまり、人に何らかの行動の変更を要求せずに便利さを提供できる、もっとも人に優しいICTソリューションなのではないだろうか。
IoTというキーワードがピンと来ない方には是非、Flick Onに触れてみて欲しい。触ってみてもコンピュータシステムに触れている実感はまったくないだろう。あたりまえである。「モノ」に触っているだけなのだから。ただ実感がない事、「モノ」に触っているだけ、それこそがまさにIoTである。
※本稿でご紹介したFlick On(フリックオン)の製品ページはこちらです。ぜひ一度ご参照下さい。