これまでにアパレルや小売などBtoCのリアル店舗において、購買に至らなかったお客様の行動傾向なども積極的にデータ化してマーケティングに活用したいとのご要望を聞く機会がありました。自前のECサイトも持ち、会員サービスやスマートフォンアプリも提供されているのでオンライン上でのお客様の行動履歴データは取得し活用できているものの、唯一取れていなかった実店舗における行動情報を加味することで新しいポテンシャルを見出したいと思われてのことでした。
来店情報の取得は、スマートフォンでQRコードを読み込んでもらうケースや、弊社の得意なビーコン(BLE)を店舗に設置しておき来店したお客様がアプリを入れていれば自動的に来店を検知するといった方法などが考えられますが、今回はもう一歩進んで試着室に持ち込んだアイテムも把握できるようにしたらどうだろうと考え、それを実現できるハードウェアとアプリケーションを開発しましたのでご紹介します。
#本記事でご紹介する内容は、2024年11月20日(水)~22日(金)にパシフィコ横浜にて開催される「EdgeTech+2024」の弊社ブース (小間番号:BG-09) にて実際にお試しいただけます。
皆さまのご来場を心からお待ちしております。
基本機能
上図のようなハードウェア(RFIDリーダー)とアプリケーション(表示アプリ)を製作したのですが、それぞれの基本機能は以下のようになります。
【RFIDリーダー】
- 電源スイッチ:一度押下すると電源が入ります(=試着室は「使用中」のステータスになります)。試着が終了後、もう一度押下すると電源がオフになります(=試着室は「未使用」のステータスになります)。
- RFIDリーダー:RFIDタグを読み取る機能です。誤検知を避けるため同じタグは複数回読み込むことが無いよう設定しています。
- LEDライト:緑のライトは電源が入っているときに点灯します。黄色いライトはRFIDタグを読み取った際に点滅します。
- Bluetooth:表示アプリがインストールされているタブレットとの接続を行います。
【表示アプリ】
- 試着室名を表示します。複数の試着室が近くにある場合は、画面を分割して複数の試着室を表示することも可能です。
- 試着室のステータスを表示します。試着室が使用されている場合(=RFIDリーダーの電源がオンの場合)は「使用中」と表示し、使用されていない場合は「未使用」と表示します。
- RFIDリーダーで読み取ったRFIDタグの情報(≒アイテム名)を表示します。また表示と同時に音を発します。
- 読み取ったRFIDの情報を外部のサーバーへ転送することもできます(タブレットがインターネット環境に接続されている必要があります)
活用フロー
この仕組みの活用例としては、お客様が試着室に持ち込んだアイテムをデータ化し商品の傾向などを分析しマーケティングに活用する方法です。
この場合の具体的なフローは以下のようになります。
- 試着室の外にRFIDリーダーとタブレットを設置します(初回のみ)
- お客様を試着室に誘導した際にRFIDリーダーの電源を入れます
- お客様が試着するアイテムを一度お預かりし、商品に付いているRFIDタグを読み取らせます。(その際にアプリ側でアイテム数など正しく読み取れているかを確認する)
- 試着が終わったら、RFIDリーダーの電源を切ります(この時点でお客様の試着が終わったとログが残ります)
- RFIDリーダーで読み取ったデータを表示アプリ(のタブレット)経由でサーバー上のデータベースにログを保管(タブレットがWi-Fiなどでネットワークに繋がっている必要があります)
- 後日、ログを分析しマーケティングに活用する
このログを分析することで「試着回数の多いアイテムの傾向」や「お客様あたりの持ち込みアイテム数」、「試着室の平均使用時間」などが分かりますし、「試着室が頻繁に使われている曜日や時間帯の把握」も行うことができます。
加えて、スタッフ毎に専用のRFIDタグを事前配布しておけば、「接客対応を行ったスタッフの特定」もできるようになります(プロセスとしては、商品のRFIDタグと同様にスタッフ用のRFIDタグをかざすだけです)。
このような情報が分かれば、アイテムのレイアウトや適切な試着室数の検討、スタッフの貢献度の可視化などが行えるようになるのではないでしょうか。
さらにこの仕組みを一歩進めてECサイトのデータと連携させることができれば、会員情報と紐づけて誰が試着したのかを把握することができますし、リアル店舗での行動データとECサイト上での行動データとを横断的に分析することもできるようになりますので、より有効なマーケティングデータとなることでしょう。
冒頭にも記載させていただいているとおり、このソリューションの実機は2024年11月20日(水)~22日(金)にパシフィコ横浜にて開催される「EdgeTech+2024」の弊社ブース(小間番号:BG-09)にて体験することができますので、もしご興味があるようでしたらぜひお越しいただければと思っております。
最後に
芳和システムデザインでは、今回ご紹介したように既存の製品だけでなく一から基板を起こしてハードウェアの製作を行うことも可能です。
PoC目的の小ロットの開発から、本番展開に向けた量産まで承れますので、何かお困りのことがあるようでしたらお気軽にお問い合わせください。