IoTを上手に活用する仕組み(前編)

(本稿は『月間自動認識 2018.5』に寄稿させていただいた内容の前編になります)

はじめに

IoTという言葉もだいぶ世間に浸透したが本稿をお読みの方はIoTについて説明できるだろうか。
一般的にはモノのインターネットと言われているが「センサーやデバイスが」等、技術的な話は挙がるが実際に何が出来るのかは曖昧なのではないか。実際にIoTが実現するソリューションでは、私たちの仕事や生活にいったいどのような恩恵を与えてくれるのだろう。

IoTを利用した会議室ソリューション

解りやすいIoT、その一つの答えとして弊社、芳和システムデザインのFlick On(フリック オン)がある。
モノがインターネットに繋がるとどんな事が実現できるのか。その一つの答えとして身近な「会議室の使用プレート」という「モノ」をインターネットに繋げてその状態(使用中になっているのか空き室なのか)をリアルタイムで把握出来るようにし会議室の効率的な利用をサポートするソリューションを実現している。
Flick Onの構成は簡単で、会議室の使用プレートにBluetooth機能を組み込みBluetooth経由で近隣のGatewayに使用プレートの状態を通知。Gatewayは使用プレートから取得した状態を、LTE回線を使用してインターネット上のサーバに送信する。サーバはグループウェアの会議室予約機能と連動したり、利用実態の蓄積をしたりする。

Flick On システム概要

使用プレートのBluetoothは電池駆動で数年間は駆動可能である。
このFlick Onが解決する会議室の課題は概ね以下の2点である。

1.予約された会議室の利用が使用しないことになったのにキャンセルされないため、使用したい人がいるにも関わらず使用出来ない
2.会議室の利用実態が見えない

予約した会議が突然キャンセルに、ただシステム上の会議室予約はキャンセルせずに放置…、誰にもこんな経験はあるのではないだろうか。運用上のルールを徹底するにしても人は概ね面倒を嫌うため、なかなか解決は難しい。
Flick Onでは会議室予約をするグループウェアと会議室の使用プレートの状態を連動させ使用プレートが使用中にならない場合は自動で会議室の予約をキャンセルする。このため、その時間に使用したい社員がいた場合は無駄なく会議室を利用出来る。
会議室の利用実態の把握としては、自動キャンセル機能をよく利用する社員(要は予約だけして会議室を使用しない社員)、時間帯別、曜日別の会議室の利用状況などが確認出来る。これにより会議室の無駄な予約を実施する社員への注意喚起や、利用状況の蓄積による適切なリソース配分などが実現可能となる。
現在各社から提供されている会議室ソリューションも、概ね解決できることに大きな変わりはない。
ただこれらは概ねタブレットを使用するタイプのものである。もちろんタブレットを使用するため操作可能な事も多い。ただし、デメリットとして操作を覚える必要がある。慣れてしまえばではあるが、例えば居酒屋で、同様にタブレットでオーダーを取るところがあるが、筆者はストレスを感じる。操作に慣れないのもあるのだろうが、操作ミスによる誤オーダーの心配もあって店員にオーダーを取ってもらった方が安心である。人は普段から慣れた操作の方が安心であるといえよう。
Flick Onであれば新しい操作を覚える必要はない。各社の運用上の違いはあり使用プレートのない会社も多くあるだろうが、いろいろな場面で誰しも一度は会議室の使用プレートを利用、または見た事があるはずであり(たとえ初めて見るにしても)使用方法に迷う事はまずない。
運用ルールも至ってシンプルである。「会議室を使うときは使用中にする、終わったら空き室にする」である。個々人のITリテラシーとはまったく関係なくルールを徹底できる。

ビーコン内蔵の専用プレート。 上部の「会議室」の箇所に会議室の名称を記載して使用いただく形。

もう一つFlick Onの利点として工事不要な点がある。タブレットを使うタイプのものは電源を確保する必要がある。各会議室にそれぞれタブレットを設置しようと思うとそれなりに工事が必要となり、工事費がそれなりにかかってくるが、Flick Onの場合は、電池駆動のプレートを各会議室に張り付けるだけである。
Gatewayは電源を必要とするが、これはすでに電源がある場所に設置すれば多少の制約(Bluetoothの電波状況など)はあるが、特に設置場所は選ばない。このため初回導入が圧倒的に安く実現可能となる。
(後編へ続く。後編は実際の活用例をご紹介します。)

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